岡山県/美術品修理修復/ 京表具 平井龍仙堂 の日記
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掛け軸の保存環境について
2013.07.02
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掛け軸の保存環境について
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修理、修復されて帰ってきた作品が、今までと同じ保存環境に置かれるとするならば、また同じ状態に戻っていくと思われます。そこで保存について少しお話してみようと思います。
桐箱に入れた掛け軸は、湿気の少ない所に保管して、年に1~2回虫干しして頂けると良いでしょう。
保管場所としては、風通しの良い湿気の少ない場所。
虫干しは8月の中旬から9月にかけての乾燥した時期を選んで1~2日乾燥させてください。
虫干し・保存・使用環境で注意しなければならない事
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●直射日光に当てない●虫干しの際には桐箱の虫干しも一緒にする●天気予報に注意して雨の降らない、俗に晴天三日と言われる温度の低い日を選ぶ(できれば湿度計で湿度チェック)
また、乾燥の過ぎや、急激な湿度の変化も好ましくありませんので注意が必要です。
●収納場所の湿度は常に65%以上にならない様に気をつけてください。
美術館などの施設では、温度は18~23度、湿度は50~60%で一定に保つことが好ましいことと、光になるべく当たらないようにすることと言われています。紙の作品の照度50~60ルクス、油絵の場合は150~200ルクスくらいです。一般家庭ではなかなか実現は難しいことですが紫外線が照射されないLED照明を使用するとかの対策を取られ、出来るだけ美術品にストレスをかけないように気をつけたいものです。
お気に入りでご購入された美術品、ご先祖様から脈々と受け継がれて来られました大切な美術品等の家宝をまた後世に受け継がれて行かれますように当店も微力ながらお手伝いさせて頂けますと幸いです。